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逃げたら
これ以上ない屈辱と
罰を与えよう
『密約は甘く縛る』
著者* 佐々木禎子 画* 山田ユギ
注文
あらすじ 父親の経営する旅館への融資とひきかえに、城ヶ崎櫂はロレインホテルズ会長・天海の条件をのむ。有能だがフェロモンだだ漏れの社長・天海直誓の色恋沙汰を阻止するため、櫂は直誓の秘書として送り込まれた。直誓と女性の接触をことごとく邪魔した結果、代わりに櫂が相手をするよう直誓から求められてしまい、不本意ながらも身体を差し出す羽目に…。思いこみとすれ違いゆえ、身体は近いのに心はそれぞれに遠い、社長と秘書なふたり。
ジャンル 社会人
発行日
2006/02/25
ISBN
825-5
佐々木禎子
先生
コメント
今回のお話のテーマはずばり「秘書」。 秘書と社長が仕事に、恋に、とがんばってます。 素敵秘書には、もれなく素敵上司がついてきます。秘書はなんというか……ツンデレの次のブームらしい「素直クール」系。思ったままが顔に出るんですが、その言動は意図せずそっけない感じになりがちな秘書。素直クールな秘書に振り回されるモテ上司。 そんなふたりを楽しんでいただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
『密約は甘く縛る』本文抜粋
 
 直誓は櫂の手首をつかみ自分の身体のほうへと櫂を引き寄せ、そのままソファへと押し倒した。
 ソファに押しつけられた櫂の身体の上にのしかかりベルトに手をかけると、櫂はとうとう抵抗をやめ、だらりと脱力した。
「なんでされるままになる?」
 自分で押し倒しておいて聞く質問ではないなと思いながらも、直誓は櫂に尋ねた。
 この状態が櫂にとっては不本意だということが、真下からきつい目で睨めつけている視線の強さでわかったからだ。唇を噛みしめ、屈辱に頬を紅潮させている。
 身体は屈しても決して心は屈しない。櫂はそういう類の男のようだ。
 直誓もだてに社長業をやってきていない。よほどのくわせ者でない限り、その相手の人となり、本心ぐらいは読めると自負している。
 そしてこういう、想定外の事態が起きたときこそ、人の本質というものがくっきりと姿を現す。
 冷たい怒りに燃えた双眸が直誓をまっすぐに見返している。ひるまず、そらさない視線から櫂のプライドの高さが窺える。
 不本意であるのに、本気で抵抗しない。
 気持ちは拒絶しているのに、身体は拒絶しない。
 どう受け止めればいい?
「あまり騒ぐと人が来ます。社長と秘書の醜聞が社内を賑わすのは不本意ですから」
 櫂が冷たく言い返してくる。
 無理に開かれたシャツの襟。乱れたスーツ。直誓が強く吸い上げた鎖骨付近の肌の色が、淡い紅に染まっている。
 目に毒なぐらい、嗜虐心をそそる眺めだ。
「それはそうだが……騒がれたら問題になるのは俺のほうだろうに。どうしてそこまで君が俺の立場を慮る?」

 
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